腰痛をラクにして、ウォーキング!医師おすすめのストレッチや運動は?

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腰痛はツライ!腰痛があると歩くのが億劫になって、家にこもりがちになります。「だって、腰痛があるのにウォーキングしちゃいけないでしょ?」そんな疑問を整形外科医である井上留美子先生にぶつけました。さらに、腰痛を運動で治す方法をお聞きました。

腰痛改善のために「体幹を鍛える」

楽天シニア:
歳を重ねるにつれ、腰痛を訴える人が増えています。それはどうしてですか?

井上先生:
もともと四つ這いの動物が“二足歩行”になって、重心が上にいったため、骨盤の向きが変わったわけですね。そして、四足歩行の時とは違う筋肉がついていったのです。
そして、両手で作業をすることにより、背骨に負担がかかったり、椎間板内圧が上がり、椎間板が潰れたり、ぎっくり腰になったりするようになったわけです。

椎間板

楽天シニア:
中腰という姿勢を続けることで、年々腰への負担が積もっていき、歳を重ねると腰痛になりやすいということでしょうか?

井上先生:
腰痛にはいろいろな原因があります。腰の筋肉が硬い、腰の筋肉や筋膜に慢性的に負担が生じている、腰の筋肉や筋膜に急激に負担がかかった、椎間板が痛んでしまっている、腰の部分の骨が変形している、骨折、ヘルニア……いろいろあるわけなんですけど。
しびれや痛みが取れなかったら病院へ行っていただくわけですが、例えば筋膜性の痛みにはハムストリングスストレッチなどをおすすめしています。
また、椎間板に負担をかけない体作りも必要ですね。患者さんには、背骨の軸を整えるために、体幹筋である「腹横筋」や「多裂筋」のトレーニング法をお伝えしています。
椎間板の寿命って、意外と短いといわれているのです。その寿命は30歳ぐらいではないかという研究もあります。だから、若い頃から椎間板を壊さない様に生活することは大切です。
最近は、足首や股関節が硬かったり、太ももやふくらはぎの筋肉が硬い子が多く、6年ほど前から子供の関節の動きや硬さをチェックする運動器検診が始まりました。若いうちから硬いということは、腰痛予備軍がたくさんいるということです。
もちろん、中高年になってから気を付けても遅くないですし、一度痛みが出た方でも、体幹の筋肉を鍛えたり生活様式を見直すことで、再発を防ぐことができます。

体幹トレーニングで再発予防も可能

楽天シニア:
再発を防ぐにはどうすればいいですか?

井上先生:
変性が進んで、それによる痛みが出てしまっても、再発予防には体幹トレーニングや生活様式の見直しが有効ですし、変性を進行させないようにする努力は可能です。
そのためには、日々のストレッチと筋トレ、そしてウォーキング(有酸素運動)がおすすめです。私はよく多裂筋と腹横筋をしっかり鍛えることと、太ももの筋肉、足首を柔らかくすることをおすすめしています。

体幹トレーニングで再発予防も可能

また、筋肉がスムーズに伸びたり縮んだりするためには、関節が滑らかに動かなければなりません。その筋肉の動きと関節を柔らかくスムーズにするのがストレッチです。ヨガも良いかもしれません。
まずハムストリングスを柔らかくして、骨盤に柔軟性が出てちゃんと動けるようになったら、多裂筋を鍛えるといいでしょう。
さらに関節などを柔らかくして、筋トレで体幹を鍛えた後は、有酸素運動であるウォーキングをプラスするといいでしょう。それらは代謝をあげ、骨粗しょう症の予防にもなります。
ただ、歳を重ねてからの腰痛には様々な要因やタイプがあります。基本的に腰に痛みが出たら診察を受け、痛みの原因を知った上で、どのようにケアするか、軽減させるか、医師と相談することをおすすめします。
腰痛がある方だけでなく、骨粗しょう症の方や、圧迫骨折していたという方は、いきなりストレッチはできませんので、医師とよく相談してから開始してください。

ハムストリングスのストレッチ

楽天シニア:
お医者様からOKが出たら、どんなストレッチがおすすめですか?

井上先生:
まず、腰痛再発予防のために、太ももの裏の「ハムストリングス」を柔らかくするストレッチをご紹介します。これは再発予防だけでなく、これから腰痛にならないように予防したい方にも最適です。
できれば、お風呂上がりやお買い物から帰った直後など、体が温まって血流がいい時に行ってください。床に座ってでも、椅子に座ってでも、どちらでもいいです。椅子に座ってやるときは深く座って、椅子から落ちないようにしてください。
椅子に座ったら骨盤を立て、片足にタオルなどをかけて、気持ちがいいところまで足を蹴り上げます。この足を開いてみたり、内側に入れてみたりしてください。
ひざは曲がっていてもいいです。曲げた状態からキュッと蹴って、「ちょい痛い」ぐらいの強さで、上げながら伸ばそうとしてください。最初は片足3回から。徐々に増やして片足10回ずつ。無理のない程度にできるといいですね。

<太ももの裏伸ばし>

太ももの裏伸ばし

1回を3秒ほどかけて、息を吸って吐いてを10回繰り返す。この時、鼻から息を吐くが、難しければ口から吐いてもいい。

腰痛を予防するストレッチや運動

井上先生:
次は、腹横筋をうまく使えるようにするための「ドローイン」を行います。腹横筋は、腰の部分を包むようについている筋肉のため、天然のコルセットとも呼ばれるものです。
腹横筋は、お腹から腰にかけての筋肉のうち、もっとも深いところにあり“インナーマッスル”とも呼ばれる筋肉です。その筋肉を使うドローインは、お腹を凹ませたまま呼吸を続けるのがポイント。それが腰痛の予防・軽減につながっていきます。

インナーマッスル

また、腰を反らしたり回転させたりするときに多裂筋がうまく働くと腰が安定する事がわかっています。
多裂筋は首から腰の頸椎に付着する小さな筋肉で、何か物を取ろうとしたときに背骨がきゅっと固まる反射の時に働く筋肉です。その反射をフィードフォワード機能といいます。
背骨の深層筋である多裂筋の動きが悪くなると腰痛にもつながりますので、多裂筋のトレーニングは、腰痛予防にとても効果的です。
では、腹横筋と多裂筋のトレーニング法を詳しく説明します。

<ドローインで腹腔内圧を上げ腹横筋を鍛える>
仰向けになり、両ひざを立てて骨盤を起こす。この時、足は肩幅ぐらいに開き、それに合わせてひざも開く。そして、ゆっくりお腹、横腹、背中側の空気を吐き出す。これを繰り返しましょう。

ドローインで腹腔内圧を上げ腹横筋を鍛える

<ドローインで多裂筋を鍛える①>
息を吐ききったら、そのままお尻を上げ、その状態をキープしながらゆっくりと呼吸する。これを5回繰り返す。※腹腔内圧を意識しながら行うことで、腰に安全に多裂筋トレーニングができます。

ドローインで多裂筋を鍛える①

<ドローインで多裂筋を鍛える②>
1)まず四つ這いになって、右手を体と平行に上げ、左脚を伸ばす。4秒で息を吸ったら、6秒以上かけて息を吐く。
2)次に左手を上げて、右脚を伸ばします。4秒で息を吸って、6秒以上かけて息を吐きます。体がぶれないように気を付けてください。
3)1〜2をセットにして、最初は左右3回程度から、徐々に10回繰り返せるようになりましょう。

ドローインで多裂筋を鍛える②

ドローインの仕方を覚えて、外出先でも実行する

楽天シニア:
ドローインは寝ながらしかできないですか?

井上先生:
ドローインの練習は、椅子に座っていても、立っていてもできます。
ドローインを寝てやったり、立ってやったりして感覚を覚えたら、外出先でも腹腔内圧を上げながら歩く……なんてこともおすすめです。私は患者さんに「バスに乗っているときに、バス停3つ分ぐらいはやってみて」と指導しています。
では、立ってするドローインの方法をご紹介しますね。

<立って行うドローイン>
1)下腹とお尻が出ないように意識して、しっかり骨盤を立てましょう。

立って行うドローイン

2)骨盤が立ったことがわかったら、ゆっくり空気を吐く。そして、両手で限界まで空気が出たことを確認したら、お腹が膨らまないようにしながら、ゆっくりと空気を吸ったり、吐いたりする。

立って行うドローイン

井上先生:
冷蔵庫の上の方に入っているものを取る時でも、信号待ちをしている時でも、このドローインをやることで、腹腔内圧を上げて腰痛を予防・軽減することができます。

カーフレイズで血流を促す

楽天シニア:
腰痛が治ったらどのような運動ができるでしょうか?

井上先生:
腰痛があるうちはストレッチ程度しかおすすめできませんが、痛みがなくなったら、ふくらはぎを鍛えるカーフレイズがいいですね。“爪先立ち”から“かかと落とし”を繰り返すだけのエクササイズです。
かかとをゆっくり上げて、かかとが上がりきったらゆっくり下げていきます。壁などに触れながらでいいので、これを繰り返すとふくらはぎが鍛えられます。
ふくらはぎは、心臓へ血液を送るポンプの役割もしますので、血流も促されます。

カーフレイズで血流を促す

井上先生:
こういったストレッチや筋トレを、できれば毎日行うといいですね。
そして、ウォーキングの時は大股で歩き、かかとからしっかり下ろすことです。大股で歩くとひざが伸びますから膝にもいいのです。
軽度の腰痛であれば、腹腔内圧を意識しながらのウォーキングは可能です。ただし、ドシドシ歩きは腰痛の引き金になりますから避けてくださいね。
そして、家の中でのトイレへの移動、お風呂場への移動などを加えてもいいので、8000歩を目指すようにしましょう。

第9回のまとめ
腰痛をラクにするために大切なこと

  • 腰痛を予防したり軽減したりするには、太もも裏のストレッチをする
  • 腰痛予防に腹横筋や多裂筋を使えるようにする
  • 腰痛が出たらまずは医師に相談する
  • 医師と相談しながら、お風呂上がり等に太ももの裏の柔軟性を上げる
  • 呼吸法(ドローイン)を覚えたら、立ってできるようにする
  • ふくらはぎを鍛えるためにはカーフレイズを行う
  • 大股で、かかとから下ろしながらウォーキングを約8,000歩目指そう

ウォーキングは毎日の習慣化がおすすめ!

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監修

井上留美子先生

井上留美子先生

医師

整形外科医。医療法人社団成東会松浦整形外科内科院長。聖マリアンナ医科大学スポーツ医学教室研究員。日本整形外科学会専門医、スポーツ医、リハビリ医。日本医師会認定スポーツ医。日本スポーツ協会認定スポーツ医。

「からだにいいこと」の協力のもとに掲載しています

からだにいいこと

創刊17周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。

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