ウォーキングは食前食後どちらがいい?

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ウォーキングをするなら食前と食後のどちらがいいの?食後すぐにウォーキングしてもいいの?こんな質問が寄せられます。そこで、ウォーキングによる医学的な効果などを研究してきた西田潤子先生にお聞きしました。

食前ウォーキングのメリット・デメリット

楽天シニア:
医学的な効果から考えると、食前と食後のどちらにウォーキングするのがいいのでしょうか?食前にウォーキングをすることに、メリット・デメリットはありますか?

西田先生:
5〜10分程度の散歩程度のウォーキングなら、食前と食後のどちらでもいいでしょう。30分以上のしっかりとしたウォーキングの場合は、食後の方がおすすめです。
まず、食前にウォーキングをすることのメリットとしては、脂肪燃焼効果が挙げられます。食欲を抑えるホルモンの働きで、食べ過ぎを防ぐこともできると言われています。
デメリットは、貧血やめまいなどを引き起こすリスクがあること。糖分の血中濃度が低いため、食後に比べウォーキングで得られるはずの様々な健康効果が落ちやすいでしょう。

貧血やめまいなどを引き起こすリスクがある

ウォーキング前は消化の良いものを摂る

楽天シニア:
食前に歩く場合は、どんなことに注意したらいいでしょうか?

西田先生:
空腹のまま歩くことはおすすめできません。何も食べずに歩いていると、エネルギー源である糖質が消費されて不足してしまうからです。糖質が不足すると疲労感が増したり、頭がぼーっとしたり、めまいが起こったり、便秘になったりします。
ウォーキングをする前には糖質を含むもの、特に消化が良いヨーグルトや牛乳などを摂るといいでしょう。

ヨーグルト

そして、水分補給を忘れずに。脱水症や熱中症を防ぐために、あるいは血液がドロドロにならないために、歩く前だけでなく、歩いている途中もこまめに水分補給を行ってください。
それに、歩くと腸のぜん動運動が活発になりますから、水分をしっかり摂ることで、便秘などが改善されるという利点もありますね。
朝早く起きて、すぐにウォーキングをするという場合は特に、水分摂取を忘れないようにしてください。コップ1杯の水を摂ることで、脳梗塞や心筋梗塞の危険を回避することができます。

水分摂取

食後ウォーキングのメリット・デメリット

楽天シニア:
食後にウォーキングをすることのメリットとデメリットも教えてください。

西田先生:
メリットは、食後だと糖分の血中濃度が十分にあるので、ウォーキングの質そのものが高くなること。また、貧血やめまいなども引き起こしにくくなりますね。他にも、食事が脂肪として体に蓄積されるのを防止する効果もあります。糖尿病の運動療法のひとつとしてもおすすめです。
デメリットは、食後すぐに歩き出すと消化不良の原因となってしまうこと。筋肉にたくさんの血液が集まって、本来消化のために働く胃や腸への血液量が少なくなってしまいます。
食事からウォーキングの間は1時間ほど空けるようにしましょう。

ウォーキング後は、たんぱく質や炭水化物を摂る

楽天シニア:
ウォーキングの後におすすめの食事はありますか?

西田先生:
ウォーキング後は、たんぱく質(肉・魚・卵・大豆製品など)や炭水化物(ご飯、バナナ、野菜類など)を摂ってウォーキングで失った栄養分を補給しましょう。
例えば、ウォーキング大会などでは、歩いた後すぐに“鮭のおむすび”などを食べる方が多いですね。鮭はたんぱく質、ご飯は炭水化物ですから。特にのりが巻いてあるおにぎりは、海藻類も摂れるのでおすすめです。
長い時間歩く場合は、途中で休憩しながら、水分とともにおむすびをちょこちょこ食べるといいですよ。

鮭のおむすび

食後のウォーキングは糖尿病の予防に

西田先生:
食後1〜2時間の間のウォーキングは、糖尿病の予防にも効果があります。

楽天シニア:
それはどうしてですか?

西田先生:
血糖値が高くなるのは、食後1〜2時間の間なので、その時、少し速めに歩くようにすれば、血中のブドウ糖がすぐに消費されて、血糖が下がるからです。

食後のウォーキングは糖尿病の予防に

だからウォーキングをしない時でも、食後すぐは横になったりせず、洗い物などをしたり、動いた方がいいのです。

楽天シニア:
第7回目でもお聞きしましたがウォーキングは糖尿病の対策としても効果があるそうですね?

西田先生:
糖尿病が進行する前の予備群や軽症の糖尿病の予防に、ウォーキングは最適です。
糖尿病がまだ軽いうちにウォーキングを習慣化しておけば、血中のブドウ糖の量を調整するインスリンが効きやすい体になっていきます。
糖尿病予備群や糖尿病の方は、定期的に医師に血糖値を診てもらい、ウォーキングを最低半年、習慣化することで、血糖を取り込む筋肉の働きが強くなり、インスリンの働きも良くなるはずです。

糖尿病の予防に、ウォーキングは最適です。

メタボの改善には生活習慣の見直しを

楽天シニア:
糖尿病は、生活習慣病の一種ですか?

西田先生:
そうです。インスリンの分泌量が足りなかったり、インスリンの働きが悪くなったり、糖尿病は生活習慣が影響して発症することが多いので、運動療法と食事療法が指導されます。
生活習慣病とは、運動不足・食事の偏り・過食・休養が足りない・飲酒・喫煙などが原因で引き起こされるものですから、運動療法としてウォーキングはとても適しています。

楽天シニア:
メタボも生活習慣病の一つですか?

西田先生:
そうですね。メタボというのは、内臓に脂肪が蓄積した“内臓脂肪型肥満”に加えて、血糖・血圧・血中脂質などの検査値に2つ以上の異常がある状態ですから、“内臓脂肪型肥満”で、糖尿病予備群の方、高血圧の方、高脂血症の方はとても多いのです。
それらの方々に、ウォーキングはおすすめです。
血糖・血圧・血中脂質などがさほど悪くなくても、複数重なると悪影響を及ぼし合い、動脈硬化を悪化させてしまうからです。
メタボの原因である生活習慣病を改善することで、メタボを治すことができます。

メタボの運動療法に最適なウォーキング

楽天シニア:
メタボの場合も、食後にウォーキングをした方がいいですか?

西田先生:
はい。メタボの場合も内臓脂肪の蓄積が原因で、インスリンの効きが悪くなっていることが多いです。だから、食事をして30分ほどでウォーキングをすること。そして、体調をみながら出来るだけそれを欠かさないことが大切です。
内臓脂肪は食事制限だけでは減らないため、生活の中の10分でもいいので歩数を増やして、意識的に歩くようにしてください。
ただ、糖尿病の場合は速歩をおすすめしますが、高血圧の場合や体重の重い方は、速歩を心がけるより、歩くこと自体が大切です。治療中の方はかかりつけの先生に相談しながら継続することを心がけましょう。

第8回のまとめ
食前食後にウォーキングをするなら

  • 健康のためのウォーキングは食後がおすすめ
  • 食前にウォーキングをするなら、消化の良い糖質を摂ってから
  • 起床後すぐにウォーキングをするなら、コップ1杯の水を忘れないように
  • ウォーキングの後は、たんぱく質と炭水化物を摂って、栄養を補給する
  • 長時間のウォーキングでは、途中におにぎり休憩を入れて栄養を補給する
  • 糖尿病対策には、食後に速めのウォーキングを
  • メタボや生活習慣病の場合は、食後のウォーキングを継続することを心がける

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監修

西田潤子先生

西田潤子先生

医師

総合健診、消化器疾患の診断・治療などを専門とし、現在は花と森の東京病院の専門医として、人間ドックや総合健診などを行っている。ウォーキング医学研究の第一人者であった故・泉嗣彦先生の元で、ウォーキングによる医学的効果などを研究し、その普及に従事。医師として生活習慣病の予防・治療にあたり、ウォーキングを通して健康維持に努めることの大切さを伝えている。

「からだにいいこと」の協力のもとに掲載しています

からだにいいこと

創刊17周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。

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