ウォーキングによって得られる健康効果

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ウォーキングは、気軽にできて健康にいいと言われます。でも、誰でも健康になれるの?特にシニアがウォーキングするとどんな効果があるの?そんな質問を医師の西田潤子先生に、医学的な立場から教えてもらいました。

“ライフスタイル・ウォーキング”で運動不足をなくす

楽天シニア:
ウォーキングは有酸素運動ということで、健康にいいというイメージがありますが、医学的にどのような効果があるか教えてください。

西田先生:
ウォーキングのいいところは、手軽にいつでもどこでも運動不足が改善できることです。
運動不足や乱れた食生活などを続けていると、内臓脂肪が溜まっていきます。
内臓に脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満になると、糖尿病、高血圧、高脂血症、高血糖などから動脈硬化を起こしやすくなります。動脈硬化を放置すると、脳梗塞や心筋梗塞など命に関わる病気につながっていきます。

内臓脂肪型肥満

内臓脂肪を予防したり、減らしたりするためには、日常生活の中で意識的に歩く“ライフスタイル・ウォーキング”がおすすめです。
“ライフスタイル・ウォーキング”とは、通常のウォーキングだけでなく、仕事や家事などでの歩きを含めて、毎日気負わずに継続していくものです。

景色や環境のいいところを選んで、時間をかけて歩く“ロング・ウォーキング”や、速歩で運動として歩く“エクササイズ・ウォーキング”を取り入れていくといいでしょう。

“ライフスタイル・ウォーキング”が習慣化できたら、景色や環境のいいところを選んで、時間をかけて歩く“ロング・ウォーキング”や、速歩で運動として歩く“エクササイズ・ウォーキング”を取り入れていくといいでしょう。

楽天シニア:
内臓脂肪型肥満を予防したり、改善したりするには、食事に気をつけることも大事ですか?

楽天シニア:
もちろんそうなのですが、食事制限だけではなかなか内臓脂肪を減らすことができませんから、やはりウォーキングは大切です。

糖尿病、高血圧の人の注意点

楽天シニア:
すでに糖尿病、高血圧などの方、あるいはその予備軍の方々が、ウォーキングをするときに注意した方がいいことはありますか?

西田先生:
まず糖尿病や高血糖の方は、食後1〜2時間のうちに、少し速めに歩きましょう。
糖尿病は、インスリンが十分に出なかったりうまく働かなかったり、血液中のブドウ糖が細胞に吸収されず、高血糖になってしまい、それが続くために起こります。
血糖値が最大になるのが食後1〜2時間ぐらい。そのときにウォーキングすることで、インスリンの働きをコントロールすることができます。
どのぐらい長く歩けばいいかなどは、医師に相談して決めるといいでしょう。
また、高血圧ですが、高血圧になる理由は様々で、はっきりわかっていないこともあります。
高血圧対策としては、ゆっくりとしたペースで歩くことです。笑顔を作って歩けるぐらいのペースがいいでしょう。
高血圧で肥満気味の方は、肥満の解消をしようとスピードを上げて歩く人がいますが、それでは心臓に負担をかけてしまうので、ゆっくりとしたペースで、継続することを心がけましょう。
ただし、高血圧から脳梗塞や心筋梗塞だけでなく、心肥大や心不全、狭心症などの合併症を起こすこともありますので、事前に医師の検診を受けておくことは大切です。

高脂血症、痛風(高尿酸血症)の人の注意点

楽天シニア:
日本人の食が欧米化したため、高脂血症の方が増えていると聞きましたが、その場合の注意点はありますか?

西田先生:
昔に比べて、高たんぱく、高脂質、高カロリーの食事が増えて、日常生活で体を動かす機会が減ったため、高脂血症の方が増えました。
運動不足を解消するにはウォーキングが適しています。ウォーキングを習慣化することで、血液中の善玉コレステロールを増やすことや悪玉コレステロールを減らすこともできます。
ただし、この場合も医師に相談してから始めてくださいね。高脂血症の場合、動脈硬化が進んでしまうことがあって、無理をすると狭心症や心筋梗塞、不整脈などを発症してしまうことがあるからです。
ここまで説明したような病気の方、その予備軍の方は、肥満になっている場合がほとんどです。体重の重い人が激しいウォーキングを行うと、ひざや腰を痛めることがあります。そんな場合は、ゆっくり歩いて、少しずつ歩数を増やしていくことをおすすめします。
同じように、激しく歩かない方がいい疾患に、痛風(高尿酸血症)があります。
痛風(高尿酸血症)とは、体内で作られた尿酸が血液中に溶けきれずに結晶化して、関節などを刺激して起こる激痛を伴う疾患です。
痛風(高尿酸血症)に効果的な歩き方は、非常に楽なペースで歩くこと。血液の循環が促されて代謝が良くなり、尿酸の排泄効果が高まります。ウォーキングの終わりには、さらにゆっくりとしたペースに落として終えることで、尿酸の排泄が促進されます。

骨粗しょう症や不眠症の予防にも

楽天シニア:
ウォーキングで、筋力を高めることもできますか?

西田先生:
そうですね。ウォーキングによって筋力がアップしたという報告はあります。
ウォーキングを続けている方は、「歩いていて、疲れづらくなった」とおっしゃいますし、おそらく心肺機能も上がっていると思います。

日光を浴びながら歩くことで骨粗しょう症の予防や改善になります

それに、日光を浴びながら歩くことで骨粗しょう症の予防や改善になりますね。
骨は、主にカルシウムでできていますが、日光を浴びるとカルシウムの吸収を高めるビタミンDが、体内で必要な分だけ合成され、骨を作る助けになります。また、骨は歩いたり、階段を降りたりといった刺激で強くなります。
ですから、カルシウムを摂りながら、日光にあたってウォーキングをすれば、骨粗しょう症の予防になりますし、骨の生成をするサイクルの助けになります。
不安などがあったり、昼間の緊張が続いたりして不眠症だという人も、就寝の2時間ぐらい前に、のんびり歩くといいでしょう。
ほどよく疲れるぐらいのウォーキングをすると、寝つきがよくなり、睡眠不足なども改善されていくはずです。

自律神経を味方につける

楽天シニア:
ウォーキングは、自律神経のバランスも整えると聞きますが?

西田先生:
そうですね。生体リズムに合わせたメリハリのある生活を送るために、ウォーキングは役に立つと思います。
朝は太陽の光を浴びて歩くことで、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌され、交感神経が優位になって脳も体も覚醒させてくれます。
リズム運動がセロトニンの分泌をより促すと言われていますから、朝ウォーキングをするなら、歩きながら「いっちに、いっちに」と心の中でリズムを刻んで、リズミカルに足を運ぶといいでしょう。

自律神経を味方につける

夕方あたりから、セロトニンが睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンに変化していきます。眠るための準備ですね。ここからのウォーキングは、あまり激しく歩かないのがポイントです。
昼間優位だった交感神経を副交感神経に移行していかなければなりませんから、目が覚めてしまうような激しい運動は避けた方がいいでしょう。
人間の体は、そのような生体リズムがありますので、それに逆らうようなウォーキングのやり方は、交感神経のバランスを乱します。その逆に、生体リズムに合わせてウォーキングをすれば、自律神経が整ってくるはずです。

家の外に出ることがウォーキングの第一歩

楽天シニア:
家にこもりがちな友人をウォーキングに連れ出したいという場合、声かけのコツはありますか?

西田先生:
家にこもっている方に、一緒にウォーキングをしようというのは、ちょっとハードルが高いかもしれませんね。
例えば、一緒にラジオ体操をしない?と言って一緒に始めるというのはどうでしょうか?歩くのは大変だけど、ラジオ体操ならできるという方もいるかもしれないので。そして、一緒に行動しながら、少しずつウォーキングの距離を伸ばしていかれてはどうでしょうか?
もしくは、一緒に絵を観に行こうとか、お花見に行こうとか、本屋さんに行こうとか、外に連れ出すことから始められるといいと思います。
あまり人と会いたくないとか、気持ちが落ち込んでいる日は、人とあまり関わりたくないと思うので、早朝や夜など人が少ない時間に、気をつけて歩くことをおすすめするのもいいですね。

他の運動に比べたウォーキングのメリットは?

楽天シニア:
運動不足解消にはランニングや水泳をしてもいいわけですが、先生がウォーキングをおすすめする理由はどんなところにありますか?

西田先生:
ランニングや水泳にはそれなりの準備が必要です。それに対してウォーキングは事前準備の必要がなく、いつでもどこでも実践できます。日常生活にはたいてい歩くという行為が含まれているので、オン・オフの区別をつけることなく行うことができるのがいいですね。

他の運動に比べたウォーキングのメリットは?

習慣化することで歩くことが楽しくなって、外に出たい気持ちになると心身にいい効果が出てくると思います。習慣化するために大切なことは、とにかく無理をしないこと。疲れている日や天候の優れない日は休んで心に余裕をもって取り組みましょう。無理をすると続かなくなります。

第7回のまとめ
ウォーキングによって得られる効果

  • ウォーキングには、生活習慣病の改善を中心に効果がある
  • 骨粗しょう症や不眠症の予防にも効果がある
  • 事前準備が不要で簡単なので習慣化しやすい
  • 無理せず続けることが大切

ウォーキングは毎日の習慣化がおすすめ!

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監修

西田潤子先生

西田潤子先生

医師

総合健診、消化器疾患の診断・治療などを専門とし、現在は花と森の東京病院の専門医として、人間ドックや総合健診などを行っている。ウォーキング医学研究の第一人者であった故・泉嗣彦先生の元で、ウォーキングによる医学的効果などを研究し、その普及に従事。医師として生活習慣病の予防・治療にあたり、ウォーキングを通して健康維持に努めることの大切さを伝えている。

「からだにいいこと」の協力のもとに掲載しています

からだにいいこと

創刊17周年を迎えた健康生活情報誌『からだにいいこと』。医師や専門家の監修のもと、「いますぐできる」「心も体も元気になれる」健康・美容・ダイエット情報を発信中。

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