定年に備える出口戦略。
老後貧乏にならないためには?

やってはいけないシニア世代の資産運用 西崎努 リーファス株式会社

第11回 定年に備える出口戦略。老後貧乏にならないためには?

人生100年時代といわれる中で、元気に長生きできるように「健康寿命」を延ばすことが意識され、そして好きなことができるように「資産寿命」も延ばす必要があるといわれています。
とはいえ、資産運用で失敗しては元も子もありません。このシリーズでは、本当にあったシニア世代の失敗事例を取り上げ、やってはいけなかった行動と、解決の手段を紹介します。

一般的に定年といえば満60歳か65歳で迎える人が多いでしょう。しかしながら、正社員で働くだけでなく副業の解禁や時短勤務、フリーエージェントのように働き方も多様化しています。一つの会社で生涯働き続ける人だけでなく、転職も一般的になってきました。

それだけではなく、FIRE(「Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)」の頭文字)を目指し、「早期退職して、お金のために働く縛りから自分を解放する」というライフスタイルを考える人も増えてきています。

とはいえ、会社員として定年まで勤務するという流れが王道であることに変わりはないでしょう。

資産形成では「定年後の老後資金をどうやって貯めるのか?」ということが注目されがちですが、定年後のライフプランも多種多様な時代になってきました。

そこで今回は、 シニア世代の方が定年後の為に、どんな備えをしておくべきなのか、どんな注意点があるのかをお伝えします。

定年時に受け取る退職金やiDeCo、DCをうまく利用するには?

退職金やiDeCo(個人型確定拠出年金)・DC(企業型確定拠出年金)は、定年後に入る最も大きな収入になる可能性が高く、老後の生活にも大きな影響があります。

資産形成として会社が積み立ててくれる退職金や自分で積み立てておく確定拠出年金でどうやって老後資金を作るか注目されがちですが、同時に出口戦略も忘れてはいけません。

退職金や確定拠出年金の受け取り方には、基本的に「年金」か「一時金」の選択肢がありますが、受け取り時には税金がかかる場合があります。

年金として分割して受け取る場合は「雑所得」として取り扱われ、一時金として受け取る場合は「退職所得」として取り扱われます。受け取り方によって手取り金額も大きく変わるのでライフプランとあわせてどちらが自分にとって有利かを計算しておくことが重要です。

年金で受け取る場合

年金で受け取る場合の雑所得は、公的年金等と同じように以下の計算式で計算されます。

(公的年金等の雑所得=収入金額−公的年金等控除額)

なお、公的年金等控除額は、以下の表で計算されます(収入金額1,000万以下の場合、(a)×(b)-(c))。収入が1,000万円以上の方は国税庁のホームページでご確認ください。

年金を受け取る人の年齢が65歳未満の場合

(a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
600,001円から
1,299,999円まで
100% 600,000円
1,300,000円から
4,099,999円まで
75% 275,000円
4,100,000円から
7,699,999円まで
85% 685,000円
7,700,000円から
9,999,999円まで
95% 1,455,000円
10,000,000円以上 100% 1,955,000円

※公的年金等の収入金額の合計額が600,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。

年金を受け取る人の年齢が65歳以上の場合

(a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
1,100,001円から
3,299,999円まで
100% 1,100,000円
3,300,000円から
4,099,999円まで
75% 275,000円
4,100,000円から
7,699,999円まで
85% 685,000円
7,700,000円から
9,999,999円まで
95% 1,455,000円
10,000,000円以上 100% 1,955,000円

※公的年金等の収入金額の合計額が1,100,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります。

(国税庁HPより抜粋、公的年金等に係る雑所得の速算表(令和2年分以後))

一時金で受け取る場合

一時金で受け取る場合の退職所得は、以下の計算式によって計算します。

(退職所得=(収入金額-退職所得控除額)×1/2)

退職所得控除の金額は、勤続年数(年数の端数は1年に切り上げて計算)が長いほど控除額も大きくなります。

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
※80万円未満の場合は80万円
20年超 800万円+70万円
×(勤続年数-20年)

例1:勤続年数20年の方の退職所得控除額
40万円×20年=800万円
例2:勤続年数30年の方の退職所得控除額
800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円

私たちが退職金の使い道を相談されてきた経験からすると、ほとんどの場合は一時金で受け取った方が公的年金等よりも控除額が大きいため、手取りが多く残る場合が大半です。

しかし、退職金や確定拠出年金、公的年金を受け取る時期が違えばどちらが有利になるのかが変わってくる場合もあります。

手間かもしれませんが、きちんと計算して有利な選択を選びましょう。コツとしては、退職金や確定拠出年金、公的年金等をバラバラに考えるのでなく、まとめて数年間分の収入状況を把握することです。

定年後の収入と資産に注目してみよう!

定年後の主な収入となる公的年金などを受け取っている高齢者世帯の平均所得は334.9万円、うち公的年金支給額が204.5万円と、所得の約3分の2を年金が占めています(日本年金機構「アニュアルレポート2018」より)。

他に勤務していた企業からもらえる企業年金、民間の年金保険などで備えていた私的年金で収入を得る人や、再雇用などで定年後も働く人もいるでしょう。

ここでは定年後にも安定収入・臨時収入がどのくらい入ってくるのかを把握しておくことが重要です。ただし、再雇用で働いている場合は、現役時代と違っていつまで働けるかはわかりませんので注意が必要です。

もしも預貯金以外の資産を持っている場合は、現金化した場合はいくらになるのか?現金化するのにどのくらい時間がかかるのかも忘れないように把握しておきましょう。

定年後の支出と負債に注目してみよう!

一時期話題になった老後2,000万円問題では、日本の平均的な夫婦世帯では老後の生活には2,000万円の貯蓄が必要だと計算されました。もちろん実際には住んでいる場所や家計によって必要な貯蓄額は違います。

結局は、自分たちの家計の基本生活費をまかなう収入と貯蓄があれば普段の生活に困ることはありません。とはいえ、健康なうちに介護や怪我・病気などの備えはしておく必要があります。

ある程度の貯蓄は必要ですが、それはローンなどの負債があるなしでも大きく変わります。低金利が続く現在であっても、収入が伸びることが考えづらい定年後では負債がないに越したことはありません。

家計の収入と支出、資産と負債を把握して、このままの生活で問題がなければ良いのですが、赤字が続くようなら支出をいかに抑えるかを吟味する必要があります。

これからの資産運用のコツ

定年後のライフプランを考える時、現役時代に資産形成を実践して、貯蓄が十分できているか、負債を返済できているかで、お金の面で安定した老後を過ごせるかが決まります。同じように、基本生活費が家計の収入に見合った水準なのか、介護や怪我病気などの備えができているかも重要です。

多くの場合は、公的年金や公的健康保険制度でまかなえる範囲で収まるかと思いますが、お金の余裕は心の余裕に繋がります。少しずつでも家計を見直すことで定年後の生活に良い影響を与えてくれるでしょう。

リーファス株式会社 登録番号 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第825 号

所属金融商品取引業者等:楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195 号

加入協会:日本証券業協会/一般社団法人金融先物取引業協会/日本商品先物取引協会/一般社団法人第二種金融商品取引業協会/一般社団法人日本投資顧問業協会

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