やってはいけないシニア世代の資産運用 西崎努 リーファス株式会社

第1回 投信の毎月分配が生活の潤いに!でも気づいたら投資元金が半分以下に。

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人生100年時代といわれる中で、元気に長生きできるように「健康寿命」を延ばすことが意識され、そして好きなことができるように「資産寿命」も延ばす必要があるといわれています。
とはいえ、資産運用で失敗しては元も子もありません。このシリーズでは、本当にあったシニア世代の失敗事例を取り上げ、やってはいけなかった行動と、解決の手段を紹介します。

毎月分配型の投資信託は、2019年末で22兆円ほどあるといわれていますが、実は2015年の44兆円からすると半分になっています。今では毎月分配型の多くがタコ足配当になっており、本来の役割とは違う投資になってしまっています。もし購入した投資信託の値動きが購入時と変わらなかった場合、どの程度が元本を取り崩すことになるかは、以下の計算式でわかります。

・投資信託の投資先からの配当&利息収入—(年間分配金利回り+年間運用費用)
すると、どの商品も元本を取り崩して分配されることが予想されます。

モーニングスター2020年1月10日時点の公募投資信託の純資産ランキング

※ 出所:モーニングスター2020年1月10日時点の公募投資信託の純資産ランキング、各商品の月次レポートより計算、税金は考慮せず

さらに現在(2020年1月末時点)で一番残高が多い公募投資信託である「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド」についてもう少し詳しく見てみましょう。投資信託の「基準価格(分配後)」と「基準価格+分配金込み」で比較して見ると、運用自体は好調にもかかわらず、基準価格は右下がりであることがわかります。

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)

ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)基準価額推移

※ 出所:モーニングスター、税金は考慮せず

この投資信託の運用会社であるピクテ投信投資顧問のHPによると、2020年1月31日時点の基準価格は「3,225円」、累積の分配金は「11,990円」となっています。仮に、2005年2月の運用開始時から1,000万円投資をしていた場合。ずっと分配金を受け取らずに運用していれば、およそ「2,200万円」になっていますが、分配金を受け取っていた場合は「1,199万円」の分配金と投資元金「322万円」のトータルでおよそ「1,521万円」となっています。

運用成果としては1.5倍になっていますが、もしも分配金を使ってしまっていた場合は元金が3分の1程度になっていることに注意が必要です。

分配金には2種類あります。利益部分の分配である「普通分配金」と元本の取崩し分の「特別分配金」。受け取った分配金の内訳がどうなっているのかを確認し、気がついたら元金が少なくなっていたということが散見されていますので、注意しましょう。

1,000万円で投資信託を購入 1,100万円に増えた時に分配金が300万円でると?

これからの資産運用のコツ

分配金が多く出ているからといって、必ずしも運用が上手くいっているとは限りません。運用の成果を確認するには、基準価格とこれまで受け取った分配金の合計を確認して、投資した金額と比較することを定期的に行いましょう。

リーファス株式会社 登録番号 金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第825 号

所属金融商品取引業者等:楽天証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第195 号

加入協会:日本証券業協会/一般社団法人金融先物取引業協会/日本商品先物取引協会/一般社団法人第二種金融商品取引業協会/一般社団法人日本投資顧問業協会

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